工場などの製造施設で働く人の多くは作業服を着用しています。生地が厚く頑丈な作りになっているのが特徴ですが、従事する作業内容に適した材質の物を選ぶことが肝心です。特に溶接作業は危険が伴うので作業服も慎重に選ばなければいけません。
ここでは溶接作業に適した作業服の選び方やお手入れの方法、品質を保つための注意点についてお伝えします。
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溶接作業に適した作業服の特徴
溶接作業で着用する作業服を選ぶ場合、肌の露出が少ない長袖が最適と言えるでしょう。溶接作業では高温の火花が飛び散るので、肌を露出させていると火傷のおそれがあります。
作業現場によっては気温が高いこともありますが、暑いことを理由に袖をまくったり上着を脱いではいけません。作業服は飛び散る火花から体を守る効果もあるので、多少の暑さを感じてもしっかりと着用することを心がけます。
また、生地が厚く、燃えにくい綿生地の物を選びます。ポリエステルなどの化学繊維は火に弱く、溶接の火花が付着するとその部分が燃えてしまうので不向きです。化学繊維の生地でも不燃加工が施されている物なら安全ですが、やや割高という欠点もあります。
作業服を家庭で洗濯する方法と注意点
作業服も他の衣類と同様に汚れたら洗濯を行うのが普通です。溶接時に着用する作業服も同様ですが、一般的な衣類よりも生地が厚いので乾きにくい点には注意しなければいけません。綿生地は吸水性に富んでいる一方で水に濡れると乾きにくいことから、完全に乾かすには長い時間を要します。
水を吸った綿生地は重量も増すので、吊るして干す際はしっかりと固定させることを忘れてはいけません。また、綿の繊維は水濡れによって縮む性質があります。最初の数回はほとんど変化しませんが、何度も洗濯を行うと次第に生地全体が縮み、表記サイズよりも小さくなってしまう可能性は否定できません。
体の動きを損なうほど縮んだ場合は新品と交換します。溶接用の作業服は多くの場合、火花で穴が生じないように厚手の生地で作られています。そのため、一般的な衣類よりも生地が固く、洗濯機で洗っても汚れが残ってしまうケースは珍しくありません。
強引に洗うと作業服と洗濯機の両方が傷んでしまうので、厚く固い生地で作られた作業服は手で揉んで洗うのが無難です。油脂や薬品などの汚れが付着している部分は洗剤を沁み込ませることで綺麗に洗い流すことができます。
生地に穴が生じた際の対処法
綿生地の作業服は溶接の火花に触れてもすぐに燃えることはありません。しかし、同じ部分に何度も火花が当たるなど場合によっては綿生地でも穴が生じることがあります。生地に穴が生じたまま着用すると引っかけによる転倒のリスクが増大する他、露出した内側の生地が火花で燃える可能性が否定できません。
綿生地の作業服でも製品によっては内側の生地に化学繊維を使っている物があるので、そのような作業服に穴が生じるのは非常に危険と言えるでしょう。新品と交換するのが最善の対処法ですが、一方で出費が嵩むのも事実です。
小さい穴なら綿生地の端切れで塞ぐことができるので経済的ですが、すき間が生じないように縫い目を細かくすることを忘れてはいけません。アイロンの熱で吸着させる補修布を使う方法もありますが、製品によっては可燃性の接着剤を使っている物があるので注意します。
また、動物の体毛を使っているフェルト生地は燃えにくいものの、細い繊維が飛び出ているとその部分から引火するおそれがあります。安価なフェルト生地は毛羽立ちが生じやすいので、作業服の穴を補修するなら高額でも高品質なフェルト生地を選ぶのが安全性を損なわないための工夫です。
溶接用の作業服を通販で購入する際のポイント
作業服の購入はホームセンターなどの店舗を訪れる他、通販業者を利用する方法もあります。通販業者の利用は一般的な店舗では扱っていない特殊な製品を購入できるのが大きなメリットです。特に溶接用の作業服は不燃性が何よりも重視されますが、同時に着心地も疎かにはできません。
溶接作業は体をかがめたり足を曲げるなどの姿勢で行うケースが少なくないので、生地に伸縮性があるほど適していると言えます。火花に触れても燃えない頑丈な作りと体の動きを損なわない伸縮性を両立させている高品質な作業服は製法が特殊なので、安価な量産品を扱う店舗では入手が困難です。
その点、通販業者なら外国の珍しい製品も多数扱っているので見つけるのは難しくありません。通販での作業服購入は店舗とは異なり、試着ができません。同じサイズ表記でもメーカーによっては実寸が異なるケースがあります。
特に外国の製品は表記内容と実寸が大きく異なることもあるので注意します。通販業者の評価を比較できる口コミサイトの情報を比較したうえで、信頼できる優良業者を選ぶのが買い物で満足するための秘訣と言えるでしょう。
公開画像と実際の製品のデザインや配色が別物など、購入に関するトラブルが多く掲載されている業者は避けます。
空調服タイプの作業服なら高温の現場でも快適
空調服と呼ばれる作業服は生地の内側に風を送るファンが付いています。形成された空気の層が持つ遮熱性によって外気の熱が伝わりにくくなり、高温の環境でも暑さを感じないのが大きな特徴です。空調服タイプの作業服なら高温の火花が飛び散る溶接作業でも暑さを感じにくくなるので、長時間の作業も快適にこなせると言えるでしょう。
空調服は仕事の質や効率性の向上に役立つ理想的な一着ですが、一方で空気の層を保つため、多くの製品には外気をほとんど通さない化学繊維の生地が使われています。燃えにくい綿生地の空調服も市販されていますが、数は多くないのでサイズやデザインの選択肢が乏しいのも事実です。
化学繊維の生地でも防炎加工が施された物なら綿生地並みに燃えにくくなっていますが、洗濯を繰り返すうちに生地が傷んで防炎性が低下するので注意が必要です。ファンや配線、バッテリーなどの機器は着脱が可能なので洗濯の際は必ず外します。
安全を最優先しつつ着心地にもこだわる
溶接用の作業服は飛び散る火花から体を守るために着用するので、燃えにくいことを第一に選びます。
厚手の綿生地は小さい火花程度ならほとんど影響がないので、溶接用の作業服に最適です。燃えやすい欠点がある化学繊維の生地も防炎加工が施されている物なら綿生地とほぼ同程度の安全性があります。
化学繊維の生地は薄く軽量なので快適な着心地を楽しめるでしょう。